筋ジストロフィー
筋ジストロフィーはデュシェンヌ型筋ジストロフィーが頻出です。これの基本を抑えておきましょう。
まず筋ジストロフィーとは、骨格筋の変性・壊死と筋力低下を主徴とする遺伝性の疾患の総称です。
その中のデュシェンヌ型筋ジストロフィーはX連鎖劣性遺伝で
①幼児期から始まる筋力低下
②動揺性歩行
③登攀性起立(ガワーズ徴候)
④腓腹筋などの仮性肥大
以上の4つを特徴とする最も頻度の高い筋ジストロフィーである。
まず基本問題から
48回37
デュシェンヌ型筋ジストロフィーで正しいのはどれか。2つ
- 関節拘縮は生じにくい
- 知覚障害はまれである
- 筋萎縮は遠位筋から始まる
- ガワーズ徴候が特徴である
- 5歳頃までに歩行不能になることが多い
1:下肢の筋、特にハムストリングス短縮による膝関節屈曲拘縮がみられる。よってバツ。
2:デュシェンヌ型筋ジストロフィーは筋原性疾患である。神経原性ではないので、知覚障害は生じない。
3:デュシェンヌ型筋ジストロフィーでは、筋萎縮は
下肢近位筋⇛上肢近位筋⇛上下肢の遠位筋へと進行していく。よって遠位筋からではないので不適切。
4ガワーズ徴候は特徴です。ガワーズ徴候は登攀性起立とも言われているやつです。これは、四肢近位筋の筋力低下が見られることから現れる徴候のことです。
5:歩行は10歳前後で歩行困難となることが多い。そのため、歩行が可能であるうちは歩行困難になる前に四つ這い移動の訓練をさせることがある。
他に特徴では、筋ジストロフィーでは下腿三頭筋の仮性肥大がおきます。筋萎縮ではなく、仮性肥大です。これは特徴ですので押さえときます。
また、下肢近位筋の筋力低下が現れることから、大殿筋と大腿四頭筋の筋力低下の代償として、腰椎前弯となり骨盤前傾姿勢となります。
また、尖足つま先立ち位となります。尖足になる理由は下腿三頭筋の短縮によって足関節は底屈位となるためです。尖足変形となることから、背屈制限がみられます。
次は本当に覚えておきましょう。
画像引用元:本日のご挨拶と第48回PTOT国家試験の解答解説|「国試塾リハビリアカデミー」中島塾長のブログ
ざっくりと。
ステージ1~4までは独歩可能、5以降は歩行不可です
1は階段昇降可能
2は手すりを使った階段昇降可能
3は椅子からの起立可能
4は歩行なんとか可能
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5では四つ這い移動可能
6では四つ這い不可になり、いざり移動可能
7ではいざり移動不可になり、座位保持は可能
8では座位保持は不可となり、寝たきりとなる。
これは頻出です。イメージして印象付けて覚えて下さい。
全部で8段階あり、図の上段1-4は歩行可能、下段は5-8歩行不可!まず歩行可能かどうかをここのステージで判断します。
8は寝たきり、
5はよつばい
ここで問題
43回78
デュシェンヌ型筋ジストロフィーのステージ5に対する理学療法として適切なのはどれか。2つ。
- バネ付き長下肢装具による歩行
- 椅子からの立ち上がり動作
- 両手手すりで階段昇降
- 四つ這い移動
- 移乗動作
はい、まずステージ5ということで、歩行は不可です。そして、ステージ5では歩行不可だが四つ這い移動は出来る状態でしたね。まずはそこをしっかりと抑えておきましょう。
よって先ず4の四つ這い移動は適切となります。
次に2の椅子からの立ち上がり動作はステージ3の動きでしたよね。よって、これは理学療法として適切とはならない。バツ
3の両手手すりはステージ2で可能な動作となるのでこれも今回の症例では不適切。よってバツ。
5の移乗動作は、ステージ5では起立歩行が出来ないため、車椅子の練習が必要となるためこの段階での車椅子移乗動作は適切となります。おっけ
1の装具をつけての歩行では、歩行はステージ4までであり本来ならば不適切である。
という風に、ステージがなんであるかを分かっていないと解けない問題が多く出題されるので、しっかりと頭に入れておきましょう。
おさらいするとデュシェンヌ型筋ジストロフィーの機能障害度は8段階あり、1-4は歩行可能。5-8は不可。
1は階段昇降。2は手すりを使って昇降可能。3は椅子からの立ち上がりが可能。4はかろうじて歩行可能。
5は歩行不可で四つ這い可能。6は四つ這い不可でいざり移動が可能。7はいざり移動が不可になり座位保持が可能。8は座位保持不可で寝たきりの状態である。
画像引用元:本日のご挨拶と第48回PTOT国家試験の解答解説|「国試塾リハビリアカデミー」中島塾長のブログ
画像を引用させて頂いたリンク先のサイトは非常に分かりやすく解説してあります。ぜひご覧になって下さい。
というわけで筋ジストロフィーはしっかりとおさえておきましょう。