ポリオについて
ポリオという言葉を聞いたことがありますでしょうか。
今回はポリオについてです。
ポリオとは、急性灰白髄炎とも呼ばれ、ポリオウイルスの感染によって脊髄前角細胞が侵され、四肢の急性弛緩性麻痺を呈するものです。
※灰白質とは中枢神経系の神経組織のうち、神経細胞の細胞体が存在している部位のこと。これに対し、神経細胞体がなく、有髄神経線維ばかりの部位を白質と呼ぶ。
※脊髄前角には筋を支配する運動ニューロンの神経細胞体が存在する。一方後方にある後角は触覚、痛覚などの感覚情報が入力する。
乳幼児期にポリオ羅患した事ある人が機能回復し、40~50代になったときに新たに筋力の低下や筋肉の痩せ、筋肉・関節の痛み、手足の痺れや冷感、腰痛、異常な疲れやすさなどの症状が出現することがあり、これをポリオ後症候群という。
では以上を踏まえて国試の問題です。ポリオ後症候群で正しいものはどれか。
1.ポリオ羅患から数十年後に障害の進行がみられる。
2.原因はポリオウイルスの再燃である。
3.深部感覚障害を合併する。
4.肥満は原因の一つである。
5.嚥下障害はきたさない。
正解は1,4です。以下解説
1.ポリオ感染から回復後数十年経った後に筋萎縮、息切れ、疲労感、歩行障害、関節痛などの身体症状が出現することである。これはその通り、正しいです。
2.過用や廃用を原因とする説もあるが原因は未だはっきりしていない。
3.深部感覚障害は合併しない。
4.ポリオ後症候群には肥満が多く、原因の一つと考えられている。よって正しい。
5.嚥下に関する筋の萎縮があれば、当然嚥下障害を生じることも考えられる。
5はグレーなとこですが、厚生労働省の回答では1,4となっておりますので、5は△といったところでしょうか。。。
難しい疾患ではありますが、国試にも問われる内容ですのでしっかりと抑えておきましょう。