後十字靭帯再建術後の理学療法について
後十字靭帯再建術後の理学療法では再建靭帯にストレスをかけないような筋力維持・向上プログラムを立てる必要があります。
基本的に、術直後~3週までは簡易装具による膝伸展位固定を行い、3~5週ではリハビリ以外は装具の固定を継続する。
後十字靭帯再建術3週での理学療法で正しいのは。という問題
1.股関節外転筋群のトレーニング
2.膝関節伸展筋群(大腿四頭筋)のトレーニング
3.膝関節屈筋群(ハムストリングス)の筋力トレーニング
4.固定自転車トレーニング
5.膝屈曲45°までの静的スクワット
まず、冒頭でも書いたとおり、後十字靭帯再建術後の理学療法では再建靭帯にストレスをかけないような筋力維持・向上プログラムを立てる必要があります。ここを頭に入れながら進めていきましょう
1の股関節外転筋群のトレーニングでは、この時期では股関節周囲筋や体幹の筋力強化を積極的に行なうことが必要である。そのためこれは正しい。
2の膝関節伸展筋群のトレーニングは、後十字靭帯と共同的な作用を持つ大腿四頭筋の筋力強化を積極的にしていく必要がある。これも正しい。
1,2とも脛骨後方偏位に注意しながら、タオルやセラバンドを使う。
3の膝屈筋群、ハムストリングスのトレーニングは、3週の時点では脛骨後方移動を制御しながら膝伸展位での等尺性収縮訓練に留めたほうが良いため、これは不適切。
ただし術後4-5週以降に膝屈曲0-45°の範囲で屈筋の筋力強化を行っていく。
4.固定自転車トレーニングは全荷重時期より取り入れていく。
荷重時期の目安はおよそ3週から1/3荷重を開始し、荷重は1週ごとに増やしていき、5週で全荷重とする。よって3週である症例では不適切
5.膝屈曲45°までの静的スクワットでは、術後5週から膝屈曲45°までの静的スクワットを開始していく。よって3週である症例では不適切。
以上の解説から正解は1,2でした。
解説をしていくと、最終的にどれも必要になるトレーニングである。
しかし、術後3週というのと、後十字靭帯の手術という要点から、選択肢を否定していく必要があります。
・術後~3週:簡易装具による膝伸展位固定
この時期は股関節周囲筋や体幹の筋力強化を積極的に行なう
・3週:1/3荷重を許可
後十字靭帯と共同的な作用を持つ大腿四頭筋(膝伸展筋力)の筋力強化を積極的に行なう。
・4週:荷重は1週ずつ増やしていくため1/2荷重を許可。
膝屈曲0~45°の範囲で屈筋の強化を行っていく。
・5週:全荷重、自転車エルゴメーターのトレーニングを行なう。
全荷重許可のため静的スクワットトレーニングも取り入れてく。
靭帯の作用する動きと、術後何週経っているかを把握していればこの時期に行なうトレーニングも絞れてくると思います。術後5週の時期に加重しないで外転筋群のトレーニングばかりしているといつまでも離床できなくなる、といった感じですね。
もちろん荷重時期は目安であり、実際は医者の指示により荷重時期が決まるものとなりますのであくまで国試向けの考え方ということで抑えておきましょう。