ひよっこブログ

ド素人がやってます

頭部外傷 急性理学療法

出題ケースが多い急性理学療法。しっかりと確認しておきましょう。

 

34歳男性。交通事故による頭部外傷で入院加療中。受傷後3日。呼吸状態は不安定。GCS(Glasgow Coma Scale)は10点。右上肢の動きは見られるが、左上下肢の筋緊張は亢進している。この時期の理学療法として適切なのはどれや。2つやで。

 

  1. 足関節底屈筋群の伸張を行なう
  2. 筋緊張抑制を目的に頭頸部屈曲運動を行なう
  3. ベッド上背臥位では両膝の下に常に枕を入れる
  4. 上半身を30°ギャッジアップさせる
  5. 立位保持訓練を進める

 

まず、ポイントは、頭部外傷患者の意識障害レベルの評価にはGCSがしばしば用いられます。GCSについては以前のエントリでも触れましたので、参考に

意識障害の程度について JCS、GCS - ひよっこブログ

確認で、GCSは開眼反応、言語反応、運動反応の3項目で採点し、13~15点は軽度、9~12点は中等度、8点以下は重度とされている。なるほど、JCSの10点とは違い、GCSの10点は中等度の意識障害として扱われるわけですね。ここは抑えておくポイントです。

また、頭部外傷では筋緊張の亢進を早期から認めることが多く、拘縮の原因となる。上肢は屈筋、下肢では伸筋の筋緊張亢進が認められる。 

 

以上のポイントを抑えて、選択肢を倒していきます。

 

1の足関節底屈筋群の伸張を行なう、では下肢は伸筋の筋緊張亢進が認められることが多いため、下肢は内反尖足になりやすいことから下腿三頭筋のストレッチが必要になります。また、上肢では屈曲方向への筋緊張亢進のため、伸展方向への可動域訓練が必要になります。ということでこれは適切。

 

2筋緊張抑制を目的に頭頸部屈曲運動を行なう、では筋緊張亢進を抑制することは必要であるが、頭頸部の極端な屈曲位、伸展位は避け、この時期に抑制のために頭頸部を操作すべきではない、ということで頭部は触れるな危険、と書いたら乱暴ですけど、筋緊張亢進の抑制は良いですが、頭頸部の操作はこの時期には不適切ということですね。ということで2は不適切。

 

3ベッド上背臥位では両膝の下に常に枕を入れる。では、膝の下に枕を入れることにより膝屈曲拘縮を助長し、足の内反尖足を促すことになるため避けるべきです。伸筋の筋緊張亢進が出現するので、常に屈曲位に保つと考えがちですが、こちらも膝屈曲拘縮が出ないように工夫することが大事ですね。何事もバランス良くです。よって不適切。

 

4の上半身を30°ギャッジアップさせる。では急性期では頭蓋内の静脈還流の促進、頭蓋内圧を下げることでギャッジアップさせる。角度は文献により異なるが、おおむね30°前後とされている。なるほど、急性期では、ギャッジアップさせることで頭蓋内の静脈還流の促進を期待し内圧を下げることがあるのですね。これは私も知らなかった。そして角度は30°前後ということを抑えておくべきですね。これは適切。

 

5の立位保持訓練を進めるでは、この時期では安静臥床状態であり、起座も許可されない場合が多いため、不適切。

 

GCSの点数がどういう状態を示しているのか、筋緊張亢進は上肢は屈曲、下肢は伸展が多いこと、それに対するアプローチを選択すること、しかし膝の屈曲拘縮には気を付けて常にタオルは挟まないこと、急性期の頭部外傷ではギャッジアップは有効であること、立位保持訓練はこの時期ではまだ早いこと。といったように、きちんと知って行いと解けない難問でございました。これを機に確認しておきましょう。